歯ならび異常が病気である以上、原因があります。
全ての原因が分かっているわけではありませんが、分かっている原因は一つずつ改善していかなければ、歯ならびやかみ合わせは根本的に治りません。
原因を直さず 「歯ならびが悪い」 という症状を治すだけでは、治療装置を外した直後から、再び歯ならびに問題が生じる 「再発」 が起こります。
従来、矯正治療はこの 「歯ならびの問題の再発」 に悩まされてきました。
当院では、歯ならび・咬み合せの治療を行いながら、原因にもアプローチして、少しでも 「再発」 の起こりにくい状態にすることを目的とした矯正治療を行っています。
歯ならび異常の原因を治すためには、少しでも治療を早く開始する必要があります。
歯ならびが悪くなる原因は?
歯ならびは、色々な原因が複合的に影響することにより、悪くなります。
例えば、口呼吸・舌の異常な動きと位置、寝相、癖、食事の仕方と内容、その他生活習慣が、複雑に絡み合って悪化します。
これらの原因は、全身的にも様々な問題を引き起こす可能性があります。
歯ならびを気にして来院された保護者の方に、
『歯ならびが悪くなる理由はわかりますか?』
と尋ねると、多くの方は
『噛む回数が少なくなった』
『硬いものを噛まなくなった』
ことが原因と答えられます。
確かに、よく噛まないのは日本人の特徴で、それも重要な原因と考えられています。
ところが、従来 「硬い物を噛むこと」 は歯ならびにとって良いこと、と考えられていましたが、近年 「硬い物は避けるべきである」という考え方を主張する歯科医師が多くなってきており、小児歯科界でも意見が分かれています。
また、近年それ以外の理由で歯ならびが悪くなったり、顎の発育が悪くなることが強調されるようになってきました。
以下に、歯ならび異常の原因の要約について説明します。
近年、口をぽかんとあいているお子様が多いようです。
口閉じて鼻で呼吸していると、舌は上あごにくっついた状態になります。
これが、上あごを成長させる刺激になり、十分な成長につながります。
一方、普段口を開いて口で呼吸していると、舌は上あごから離れてしまいます。
その結果、上あごの成長の刺激が足りなくなり、十分に成長できません。
その結果、歯ならびが悪くなります。
更に詳しく知りたい方は、口呼吸(詳細)ページへ
「口呼吸」の項で、『口を開いていると舌が上あごに着かない』と説明しました。
この状態を
低位舌(ていいぜつ)
と呼びます。
舌が下がった状態では上あごの成長を刺激できず、歯の並ぶスペースが足りなくなってしまいます。
乳児の時と、成人の飲み込みは、違う方法で行われます。
乳児の飲み込みの仕方がそのまま残ってしまうことを『乳児嚥下の残存』といいます。
この場合も、歯ならびが悪くなるのでは、と推察されています。
更に詳しく知りたい方は、舌の機能異常(詳細)ページへ
舌・唇の機能に異常のあるお子様は、近年増加傾向にあります。
その理由は、
・ 離乳が早すぎる
・ 母乳でなく人工乳で育てる
・ カラダが硬直している
・ カラダが緩みすぎ
・ 離乳症の進め方の問題
・ 離乳食を与えているときの姿勢の問題
・ おしゃぶりを早くやめさせすぎ(これについては賛否両論あり)
・ 色々な物をなめるのをやめさせる
・ 早く立ち上がる、歩行する
などが指摘されています。
したがって、まずこれらを改善することからはじめる必要があるのです。
『口の機能に問題が起こる原因”』の詳細については、「歯並び異常の原因の原因」のページをご覧下さい。
日本人の歯ならびが悪い理由として忘れられないのが、「食材が全般的にかなり柔らかい」ことにあります。
よく噛んで食べることは、口の機能の発達にとって重要で、さらには顎の発育を促すと考えられています。
近年小学校入学前に
「20分や30分で食べられるようにしてくるように」
という指導が行われていると聞きます。
これは、口の機能の発達・あごの成長にとって好ましい指導とは言えない、と考えています。
更に詳しく知りたい方は、食事の問題(詳細)ページへ
横向きに寝たり、特にうつ伏せで寝ると、歯ならびが悪くなります。
寝相が悪いまま放置しておくと、矯正治療が終わったあとの歯ならび異常は、すぐに再発しますので注意が必要です。
更に詳しく知りたい方は、寝相(詳細)ページへ
頬杖、唇の癖(巻き込んだりとがらせたり)、爪かみなどによって歯が押されて移動・傾斜し、その結果歯ならびが悪くなります。
癖を直さないと、矯正治療してきれいになった歯ならびが、再び崩れてしまいます(再発)。
更に詳しく知りたい方は、よくない癖(詳細)ページへ
姿勢が悪いと、舌が後方かつ下に引っ張られます。
舌は直接あるいは間接的に下あごの骨とつながっており、舌が下がれば口があく方向に力がかかり続けます。
その結果、口が閉じにくくなってしまいます。
更に、あごに成長すべき方向と逆の方向に引っ張られることにより、下あごの成長は妨げられます。
その結果、歯が並ぶのに充分なスペースが出来なくなります。
下あごの骨は間接的に胸の骨、背中の骨などともつながっており、姿勢がゆがむと下あごは一方向に引っ張られます。
その結果、上下の顎の位置関係がずれます。即ち、かみ合わせが悪くなります。
足指をきちんと使うためには、足の指がゆがんでいないことが重要です。
足の指をきちんと使って立っていないと、姿勢が悪くなったり、ゆがみます。
その結果、上に示したように歯ならびやかみ合わせに影響を与えます。
足指の問題を改善するために、足指の体操や特殊な5本指ソックスを使用します。
足指の変形の原因の多くは、靴の選択と履き方の問題です。
更に詳しく知りたい方は、姿勢や足指の影響(詳細)ページへ
・ 乳歯がいつまでも抜けない(乳歯晩期残存)
・ 乳歯が早く抜けてしまった(抜いた)
・ 軟組織の異常(小帯の異常)
・ 歯の形・数の異常
・ 日本人の永久歯は大きくなってきている
・ 永久歯がもともと大きい
・ 乳歯の虫歯
・ 舌の形態異常
・ 永久歯の喪失・虫歯・萠出遅延
・ 不適切な修復物(詰め物)
などが、歯並びに影響を与える直接的な原因になります。
・ 離乳が早すぎる
・ 母乳でなく人工乳で育てる
・ 離乳症の進め方の問題
・ 離乳食を与えているときの姿勢の問題
・ おしゃぶりを早くやめさせすぎ(これについては賛否両論あり)
・ 色々な物をなめるのをやめさせる
・ 早く立ち上がる、歩行する
なども、間接的に歯並びやかみ合わせに影響を与えると考えられています。