矯正治療は、長年の間永久歯が生えそろうのを待ってから、歯を並べるスペースを確保するために歯を抜き、そのスペースに歯を順送りして並べるのが主流でした。
ところが、多くのケースで 歯1本分ほどの大きなスペースは必要なく、あまったスペースをふさぐため歯の並ぶアーチ(歯列)を小さく絞り込む必要が生じます。
その結果、歯の裏側にある舌のスペース(ベロの部屋)が狭くなり、舌は後方および下方に移動します。
それにより舌の後方にある喉のスペースが狭くなり、空気の通り(通気度)が悪化し、呼吸に悪影響を及ぼします。
・ 歯の並んでいるアーチが狭くなり、お口の中に舌が収まりきらず、後方に押し出されて気道が狭くなることがある
・ その結果、呼吸や睡眠に悪影響が生じる
・ 後戻り現象(再発)が避けられない(せっかく並んだ歯が動いて歯ならび・かみ合わせが乱れる)
・ ほうれい線が目立つようになる
・ バッカルコリドー(下記)が生じる
・ 歯根(歯の根)が吸収する
・ 歯の移動が厳密なの平行移動でなく、傾きながら移動するので、噛むときに歯に無理な力がかかるようになり、加齢と共に歯周病が進行しやすくなる
(歯を抜いて矯正をした方は咬み合せが崩れ、歯周病が急速に進行する症例をさくら総合歯科では数多く経験しています)
など、治療終了後に問題が生じる場合があります。
笑ったときに上の歯ならびと頬の内側の間(口角付近)にできる、黒い影のこと。
歯を抜いて矯正を行うと歯のアーチが小さくなるので、笑ったときに口角に影が出来る(ほうれい線が目立つ)場合があります。
実際、抜歯後マルチブラケット法での成人矯正治療を行っている美容師さんが
『歯ならびはよくなったが、ほうれい線が目立つ様になったのが気になる』
とおっしゃっているのを、聞いたことがあります。
気道が狭くなったとき、より強く影響を受けるのが、睡眠時です。
なぜなら、仰向けで顔を上に向けて寝ていると、舌が重力に引かれてより後方に移動します。
その結果気道が狭くなり、いびきをかいたり、さらにひどくなると呼吸が止まります(閉塞性睡眠時無呼吸)。
今の子どもたちは、元々気道が狭くなっている傾向があり、睡眠障害の状態になっている割合が高くなっている、と指摘する歯科医師が増えてきました。
睡眠障害は明確な症状を示さない場合が多く、多くの親御さんは気付くことがありません。