口呼吸

口呼吸が歯ならびに影響した男の子
最近、口をぽかんとあいたままのお子様が多いようです。
また、私(さくら総合歯科院長)が出張で東京など大都市に行ったとき、周囲の人の口元を観察していると、口を開いて歩いている人が非常に多いことに気づきます。
特に、子どもにその傾向が強いですが、子どもの親世代も口を開いている人の割合が高いことに気付きます。
・ 唇を閉じず、口呼吸
・ 唇を閉じずにポカンと口が開いたまま(口唇閉鎖不全)
この2つが歯ならび・かみ合わせ異常の最大の理由と考えられています。

 

普段口を開いて口で呼吸していると、歯ならび・かみ合わせが悪くなります。
当院に矯正治療で来院されるお子様は、殆どが口を閉じていません。

口呼吸の影響

口を開いているお子様は多くの場合、口で呼吸しています。口を閉じて鼻で呼吸することは、歯ならび・かみ合わせを正常に導くためのみならず、お子様が生涯健康で過ごすためにも極めて重要です。
鼻で呼吸することにより、

 

・ 空気が加湿、加温される
・ 脳が冷やされる
・ ゴミ等が除去される
・ 侵入してくる外敵をやっつける抗体を作る指示を出す

 

など、様々な処理が行われ、扁桃で身体に悪影響のある物質処理の仕上げが行われます。
ところが、口で呼吸するとこれらの処理がされないまま空気が扁桃に達し、扁桃はその処理のためパニックになってしまいます。
従って、矯正治療に訪れるお子様の多くは扁桃が腫れています。
その結果IgA腎症など、様々な病気が起こります。

 

人間は鼻で呼吸することによって、脳を冷やしています。
口で呼吸すると脳の冷却が不十分となり、脳の活動に影響が出る、と口呼吸に注目している内科や耳鼻科の医師が言っておられます。

 

さらに、口で呼吸していると、アトピーやリウマチなど、アレルギー性の病気を誘発する可能性があることもわかってきました。
実際、当院でも矯正治療の目的で来院されているアトピーの患者さんが、鼻で呼吸するようにしたところ、アトピーが治り大きく腫れていた扁桃も正常になった例があります。

 

もしご自身のお子様が口で呼吸しているようであれば、是非鼻呼吸に直すべきです。
そしてそのことが、歯ならびやかみ合わせにもよい影響を与えます。

 

このページをご覧になっているお父様・お母様、もしお子様が口をぽかんと開いていたら、要注意です。

口呼吸の全身への影響

2024年10月日本口腔筋機能療法学会 小野卓史先生発表より
・ アトピー性皮膚炎は、口呼吸者では鼻呼吸者より多い(韓国の論文)
・ 口臭が鼻呼吸者より発生しやすい
・ 鼻呼吸障害の学習能力に対する影響(ブラジルの研究)
  小学生の落第者は、有意に鼻呼吸よりも口呼吸が多い
  読解力と計算力は、口呼吸の子が鼻呼吸の子に比べて有意に劣っている
・ 鼻呼吸障害(口呼吸)があると、動脈血酸素飽和度が低下する 2018年 Ogawa
・ 鼻呼吸障害は海馬細胞数を減少する 2018年 Ogawa
  ※海馬とは、脳の記憶を司る部位
・ 鼻呼吸は記憶にプラス・口呼吸はマイナス(2019イギリス)
・ かむ筋肉(咬筋)が弱くなり、その結果、顔の成長方向が変わる
 下あごの成長方向が変わるとともに、上あごの天井部分(口蓋)が狭く深くなる
・ 上の歯が前に出っ張ることにより、前歯をぶつけるリスクが高い
   ↓
  歯を折ったり抜けてしまうリスクが高まる
・ 成長期の鼻呼吸障害(口呼吸)は、開口反射の反射調節機構に変調を来す

睡眠障害と口呼吸

口呼吸をしている人は、体が酸素不足になりがちです。
特に、寝ているときにその傾向が顕著になります。
いびきをかきながら鼻で呼吸していることは、ほとんどありません。
寝ているときも、人間は本来口を閉じて鼻で呼吸します。

 

呼吸に問題を抱えている指標として、「寝相」があげられます。
上を向いて寝られない子、特に
・ うつ伏せで寝ている時間が長い子
・ 寝相が極端に悪い子
・ いびきをかく子
は、要注意です。

 

呼吸に影響を与える因子はいくつかありますが、寝ているときに主に問題になるのが、舌の位置の影響です。
舌の位置が正常でないと、寝ているときに十分な呼吸ができず、睡眠の質が低下します。
その結果、下記のような症状が現れます。

 

・ 日中の眠気
・ 集中力の低下
・ 覚醒時の倦怠感
・ 夜間の頻尿や夜尿(おねしょ)

睡眠障害と矯正治療

矯正治療が必要なお子さまはあごの成長が悪く、その結果 呼吸に何らかの問題を抱えている子が多いようです。
うつ伏せ寝が直らない、寝相が極端に悪い場合は、特に注意が必要です。
また、いつも横向いてしか寝ていない場合も要注意です。
これらの寝相は、歯ならびを悪くする原因にもなります。
また、矯正治療後の歯ならび悪化(再発)の原因にもなります。