歯ならびやかみ合わせの異常は、お口の中のみならず、全身に悪影響を及ぼすことが示唆されています。
また、最近の若い方の顔つきは、下あごがほっそりしています。
一見スマートで良さそうなのですが、実は大きな問題をはらんでいます。
下あごが小さいということは、舌の収まるスペースが足りなくなります。
すると、舌は後方へ押し込まれます。
その結果、その後方にある気道が狭くなり、呼吸に支障を来す場合があります。
若いうちはその影響を自覚しにくいのですが、年齢が高くなったとき呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)を起こす可能性があります。
実際、睡眠時無呼吸症候群で来院される患者さんの多くは、下あごの小さい方です。
この病気は様々な病気の人に高率に現れる事から、病気の誘因となる事が示唆されています。
各疾患におけるSAS合併率
・高血圧 約40%
・薬剤耐性高血圧 約80%
・狭心症 約30%
・心不全 約55%
・脳卒中 約70%
従って、睡眠時無呼吸にならないように、成長期に健全な口腔育成を行う事が、医療費財源が枯渇してあてにならない将来の日本の保険制度に頼らない、健康なからだ作りに必ず役立ちます。
因みに、あごの小さいお子様に抜歯矯正を行うと、その影響が顕著に出る場合があります。
実際、希にではありますが、抜歯矯正による呼吸障害等で、日常生活に多大な支障を来した実例もあるようです。
また、呼吸に支障を来すと言うことは、酸素不足に陥っている、と言うことです。
近年増えている、
多動・ボーッとしている・切れやすい・おねしょ・いびき
などの症状は、実は呼吸の問題による酸素不足が要因になっているのでは、と歯科界では考えられるようになってきました。