歯ならびを悪くする原因(詳細)メニュー非公開

歯ならびを悪くする原因

歯ならびは、口呼吸・正しくない飲み込み・よく噛まないなど、様々な原因で悪くなります。

歯ならび・咬み合せの異常は病気

近年、歯ならび と かみ合わせ(以下 「歯ならび」と略)に何らかの問題を持った子どもたちの割合が、非常に高くなってきました。
歯ならび異常は病気です。
歯ならび異常は、ほとんどが遺伝ではありません。遺伝であれば、急激に増えることはありません。

 

歯ならびが悪くなるのは、『遺伝』 ではなく 『生活習慣・生育環境』 などが主な原因である、と考えられるようになってきました。(例外として、受け口は遺伝的要因が強い場合もあります。)
例えば、口呼吸・舌の異常な動きと位置、寝相、癖、食事の仕方と内容、その他生活習慣が、複雑に絡み合って悪化します。
これらの原因は、全身的にも様々な問題を引き起こす可能性があります。

 

歯ならびが悪いのは 「病気」 です。
例えば、

 

足のアーチが上手く形成されていない → 扁平足
背骨が捻じれて左右に曲がっている → 側湾症
頭蓋骨がゆがんでいる → 頭蓋変形症

 

など、変形には病名が付きます。
ところが、歯ならびの異常は 「単に見た目が悪いだけ」 程度の認識の親御さんが多いような気がします。
足のアーチが直立歩行するために必要不可欠であるのと同じで、歯ならびも人間が生きていくために必要だからきちんと並ぶ必要があるはずです。
つまり、歯ならびの異常は、れっきとした『病気』なのです!
歯ならびが悪くなるとどんな問題が起こるかについては、『歯ならび異常の影響』のページをご覧下さい。

歯ならびが悪くなる原因による、全身への影響は?

『歯ならびが悪い』 ということは、『歯が並ぶのに必要な大きさに顎が十分成長していない』 ということです。
『あごの成長が悪い』 ということは、『その中に収まるべき舌のスペースがたりなくなる』 ということです。
舌のスペースが小さくなれば、どこかにはみ出さざるを得ません。
では、どの方向にはみ出すのでしょうか?

はみ出した舌が呼吸にとって障害となる

舌の上には上あごがあり、その中には骨があります。
前方には歯があります。
従って、その2方向にははみ出すことができません。
はみ出そうとした舌は主に奥にある空洞(のど)のある方へはみ出します。
のど(咽頭)は空気の通り道です。
つまり、空気が通りにくい状態になる → 呼吸しにくい状態になるのです。

 

その結果、

 

いびき、おねしょ、アトピー、アレルギー性鼻炎、喘息、扁桃炎、リウマチ、うつ、猫背や巻き肩

 

など、様々な病気・症状を引きおこす可能性が、一部の医師・歯科医師により示唆されています。
(詳しくは「歯ならび異常の影響」をご覧下さい。)
このことは徐々に国民にも認識されるようになってきているようで、当院に

 

「口呼吸が気になる」
「いびきをかく」
「おねしょをする」

 

などと訴えてお子様を連れて来られるお母様が増えてきました。
三重県四日市市のさくら総合歯科は健康第一の矯正治療

歯ならびが悪くなる原因は?

歯ならび異常が病気である以上、原因があります。
全ての原因が分かっているわけではありませんが、分かっている原因は一つずつ改善していかなければ、歯ならびや噛み合わせは根本的に治りません。
原因を直さず 「歯ならび・かみ合せが悪い」 という症状を治すだけでは、治療装置を外した直後から、再び歯ならびなど問題が生じる 「再発」 が起こります。
従来、矯正治療はこの 「歯ならびの問題の再発」 に悩まされてきました。
当院では、歯ならび・咬み合せの治療を行いながら、原因にもアプローチして、少しでも 「再発」 の起こりにくい状態にすることを目的とした矯正治療を行っています。
歯ならび異常の原因を治すためには、少しでも治療を早く開始する必要があります。

歯ならびが悪くなる原因としてよく言われていること

歯ならびを気にして来院された保護者の方に、
『歯ならびが悪くなる理由はわかりますか?』
と尋ねると、多くの方は
『噛む回数が少なくなった』
『硬いものを噛まなくなった』
ことが原因と答えられます。

 

確かに、よく噛まないのは日本人の特徴で、それも重要な原因と考えられています。
ところが、従来 「硬い物を噛むこと」 は歯ならびにとって良いこと、と考えられていましたが、近年 「硬い物は避けるべきである」という考え方を主張する歯科医師が多くなってきており、小児歯科界でも意見が分かれています。

 

また、近年それ以外の理由で歯ならびが悪くなったり、顎の発育が悪くなることが強調されるようになってきました。
以下に、歯ならび・かみ合わせ異常の原因について説明します。

口呼吸

歯ならびと口呼吸
・ 唇を閉じず、口呼吸
・ 唇を閉じずにポカンと口が開いたまま(口唇閉鎖不全)
この2つが歯ならび・かみ合わせ異常の最大の理由と考えられています。
普段口を開いて口で呼吸していると、歯ならび・かみ合わせが悪くなります。
当院に矯正治療で来院されるお子様は、殆どが口を閉じていません。

 

口を閉じて鼻で呼吸することは、歯ならび・かみ合わせを正常に導くためのみならず、お子様が生涯健康で過ごすためにも極めて重要です。

 

例えば、鼻で呼吸することにより脳は冷やされます。
逆に口で呼吸していると脳が十分に冷やされず、脳の活動が低下し知能に影響する場合があるのではないか、と言われています。

 

さらに、口で呼吸していると、アトピーやリウマチ、IgA腎症など、アレルギー性の病気を誘発することもわかってきました。
実際、当院でも矯正治療の目的で来院されているアトピーの患者さんが、鼻で呼吸するようにしたところ、アトピーが治り大きく腫れていた扁桃も正常になった例があります。

 

このページをご覧になっているお父様・お母様、もしお子様が口をぽかんと開いていたら、要注意です。

舌の位置・機能異常

・ 舌の機能異常(舌が下に落ち込む・前に押し出す)
・ 異常な飲み込み癖(異常嚥下癖)
{歯ならびと舌の位置}

低位舌(舌が低い位置にある)

人間の舌は、安静にしているとき上あごにくっついているのが正常と言われています。
ところが、矯正治療に訪れる多くのお子様は、この舌が宙ぶらりんになっていたり、下に落ち込んでいます。
上あごの歯ならびは、正常な位置にある舌によって押し広げられます。
舌が正しい位置にないと、上あごは十分発育せず、歯ならびは悪くなります。
さらに、舌が低い位置にあると、下あごが後ろに引っ張られて下あごの成長が妨げられたり、逆に前に押されて受け口になってしまいます。

 

上下のあごは本来前下方に成長していくべきなのですが、舌の位置異常の結果前方への成長が阻害され、あごは下方に成長し、顔が長くなってしまいます。
顔が長くなれば、結果的に唇が閉じにくくなってしまい、一生 口呼吸とそれによる問題に悩まされることになります。
因みに、舌が低い位置にある方は、舌の横側に歯のあと(圧痕)がつきます。

異常嚥下(誤った飲み込み)

また、ものを飲み込むとき、舌は上あごに押しつけられるのが正常です。
ところが、矯正治療の必要な患者さんの多くは、飲み込むときに舌が前に出ます。
その結果、かみ合わせが悪くなります。

舌の機能の問題が増えてきている理由

舌・唇の機能に異常のあるお子様は、近年増加傾向にあります。
その理由は、

 

・ 離乳が早すぎる
・ 母乳でなく人工乳で育てる
・ おしゃぶりを早くやめさせすぎ(これについては賛否両論あり)
・ 色々な物をなめるのをやめさせる
・ 早く歩行させる

 

などが指摘されています。

 

以上の要因が歯ならび・かみ合わせに最も影響を及ぼします。
矯正治療を行う場合、この問題を同時に改善しておかないと、いったんきれいに並んだ歯ならびが再び悪くなる『後戻り』が起こります。

食事の問題

歯ならびと食事
・ 清涼飲料水の摂取(スポーツドリンクを含む)
・ よく噛まずに食べる
・ よく噛む必要のない食材ばかり食べる
・ 3度の食事の量が少ない
・ 前歯でかみ切らない
・ 食事の時の姿勢に問題がある

 

なども、歯ならび・かみ合わせに影響を及ぼします。

咀嚼(噛むこと)とあごの成長

日本人が1日に噛む回数は、昭和初期に比べて約半分に減ってしまったそうです。
これは日本の食材の軟化と共に、清涼飲料水の影響が大きいと言われています。
あごの発育は、『かむ』という行為により刺激され、促進されます。
かむ回数が少なくなれば、逆にあごの発育は悪くなります。
現代人は、歯の大きさが僅かに大きくなってきているにも関わらず、 あごの発育が悪くなってきており、その結果歯ならびの悪いお子様はどんどん増えています。
最近の若いタレントさんと、ベテランの俳優さんの顔貌を比較すれば、 あごの発育が悪くなってきていることは、一目瞭然です。

食材の変遷

江戸時代、徳川幕府の歴代将軍は、歯ならびが悪かったそうです。
当時はよくかまなければ食べられない物が多かったのですが、将軍になった人たちは、 噛む必要性の少ない、当時としては特殊な食事を摂っていたことが原因だそうです。
食事三度の食事を15分間しっかりかんで行うと、 食後30分から2時間くらい顔周辺の温度が上がり、 活性化されます。 ということは、一日3度しっかりかんで食事をすれば、 顎の発育のための刺激が6時間以上加わります。
残念ながら最近のお子様で、三度の食事にそれだけの時間 かけている方は、あまりおられないようです。 このことが、歯ならび・かみ合わせの悪いお子様が増えた要因です。

 

なお、噛むことが右脳の「前頭前野」という部分の発達に、強く関わっていることが 分かっています。 右脳の前頭前野は、情緒や感情のコントロールを司っています。
近年よくかまずに食事をするようになったことが、感情をコントロールできない人が 増えている原因の一つではないか、と考える人もいます。
清涼飲料水(ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料)の摂取
コンビニ・自動販売機の増加により、清涼飲料水が簡単に入手できるようになりました。
それにより、清涼飲料水を常飲するお子様が増加しています。
ところが、清涼飲料水には多量の砂糖・ブドウ糖が含まれています。 従って、飲んだあとには血糖値が上がります。
血糖値が上がることにより、肝心な三度の食事の量が大幅に減ってしまいます。
従って、いくら一口を少なくし、30回程度噛んだとしても、 一日に噛む回数は十分とは言えません。 その結果、顎の発育が悪くなってしまいます。

離乳食の与え方

一般的に、離乳食の与え方は“標準的な月齢”で説明されます。
しかし、成長は個人差が大きく、それは歯の生え方も例外ではありません。
奥歯のかみ合わせが確立する前は、それに応じた離乳食が必要です。
また、正しい飲み込みを習得するためには、舌の機能の発達が必要です。したがって、離乳食を進めるに際し、舌の機能も考慮に入れる必要があります。
つまり、お口の機能を考慮しない離乳食の与え方は、異常な飲み込み習慣の原因になってしまう可能性がある、と近年指摘されています。
{歯ならびと離乳食}

前歯でかみ切らない

小さな食材は、前歯でかみ切る必要がありません。 小さな食材ばかり食べていると、奥歯だけで噛むようになってしまいます。 その結果、顎の前方への発育不足が起こります。

食事の姿勢が悪いと・・・

また、よく噛みさえすればよいのか、というと、 そうではありません。 食事の際の姿勢も重要です。
小さいお子様は、足のつかない状態で食事をしている 場合があります。
足から舌まで筋肉の表面にある『筋膜』でつながっています。
このことから、足が床にしっかりついた状態で飲み込み(舌を動かす)をしないと、正しい舌の機能が習得できません。
{食事の姿勢}

寝相

横向き寝、うつ伏せ寝は前歯の歯ならびを悪化させます。

悪い癖(くせ)

頬杖をつく子ども
頬杖や唇の癖(巻き込んだりとがらせたり)、爪噛み、指しゃぶりなども、歯ならびかみ合わせに影響を及ぼします。
頬杖は姿勢が悪い人が行うことが多いので、姿勢の改善が重要であると共に、自身が意識してやめることが必要です。
癖を直さないと、矯正治療してきれいになった歯ならびが、再び崩れてしまいます(再発)。

よくない姿勢

姿勢がよくないと、舌が下後方に引っ張られ、本来の位置からはずれてしまいます。
上あごは舌に内側から押され続ける事により充分な成長が得られます。
舌が正しい位置からはずれてしまうと、充分な上あごの成長が得られず、結果として歯ならびは悪化します。

足指の異常・不適切な靴の使用

足指や靴が影響するのは、主に 「かみ合わせ」 です。
足指の問題や不適切な靴の選択・履き方は姿勢の歪み・傾きに影響を及ぼします。
下あごの位置は姿勢の影響を強く受けます。
その結果、下あごはずれた状態になり、咬み合せがずれてしまいます。
特に、成長期の乳歯から永久歯に生え替わる時期にあごがずれていると、下あごがずれたままの位置でかみ合ってしまい、一生あごがずれたままの位置で固定されることになりかねません。

その他の原因

・ 乳歯がいつまでも抜けない(乳歯晩期残存)
・ 乳歯が早く抜けてしまった(抜いた)
・ 軟組織の異常(小帯の異常)
・ 歯の形・数の異常
・ 日本人の永久歯は大きくなってきている
・ 永久歯がもともと大きい
・ 乳歯の虫歯
・ 舌の形態異常
・ 永久歯の喪失・虫歯・萠出遅延
・ 不適切な修復物(詰め物)

歯ならび・かみ合わせが悪くなる”原因の原因”を修正

しかし、そもそもこれらの原因がなぜ起こってしまったか、その原因を考えないと、歯ならび・かみ合わせ異常の予防はできません。
『歯ならびが悪くなる”原因の原因”』については、「マイナス2歳からの予防歯科」のページをご覧下さい。

お口ポカン・口呼吸

口呼吸が歯ならびに影響した男の子
最近、口をぽかんとあいたままのお子様が多いようです。
また、私(さくら総合歯科院長)が出張で東京など大都市に行ったとき、周囲の人の口元を観察していると、口を開いて歩いている人が非常に多いことに気づきます。
特に、子どもにその傾向が強いですが、子どもの親世代も口を開いている人の割合が高いことに気付きます。

 

普段口を開いて口で呼吸していると、歯ならび・かみ合わせが悪くなります。
当院に矯正治療で来院されるお子様は、殆どが口を閉じていません。
口を閉じて鼻で呼吸することは、歯ならび・かみ合わせを正常に導くためのみならず、お子様が生涯健康で過ごすためにも極めて重要です。
例えば、鼻で呼吸することにより脳は冷やされます。
逆に口で呼吸していると脳が十分に冷やされず、脳の活動が低下し知能に影響する場合があるのではないか、と言われています。

 

さらに、口で呼吸していると、アトピーやリウマチ、IgA腎症など、アレルギー性の病気を誘発する可能性があることもわかってきました。
実際、当院でも矯正治療の目的で来院されているアトピーの患者さんが、鼻で呼吸するようにしたところ、アトピーが治り大きく腫れていた扁桃も正常になった例があります。

 

人間の舌は、安静にしているとき上あごにくっついているのが正常と言われています。
ところが、矯正治療に訪れる多くのお子様は、この舌が宙ぶらりんになっていたり、下に落ち込んでいます。
上あごの歯ならびは、正常な位置にある舌によって押し広げられます。
舌が正しい位置にないと、上あごは十分発育せず、歯ならびは悪くなります。
さらに、舌が後下方にあると、下あごが後ろに引っ張られて下あごの成長が妨げられたり、逆に舌が下方に位置すると下あごが前に押されて受け口になってしまいます。
上下のあごは本来前下方に成長していくべきなのですが、舌の位置異常の結果、前方への成長が阻害され、あごは下方に成長し、顔が長くなってしまいます。
顔が長くなれば、結果的に唇が閉じにくくなってしまい、一生 口呼吸とそれによる問題に悩まされることになります。
因みに、舌が低い位置にある方は、舌の横側に歯のあと(圧痕)がつきます。

口呼吸の影響

{口呼吸の影響}
口を開いているお子様は多くの場合、口で呼吸しています。
鼻で呼吸することは、人間にとってものすごく重要です。
鼻で呼吸することにより、

 

・ 空気が加湿、加温される
・ 脳が冷やされる
・ ゴミ等が除去される
・ 侵入してくる外敵をやっつける抗体を作る指示を出す

 

など、様々な処理が行われ、扁桃で身体に悪影響のある物質処理の仕上げが行われます。
ところが、口で呼吸するとこれらの処理がされないまま空気が扁桃に達し、扁桃はその処理のためパニックになってしまいます。
従って、矯正治療に訪れるお子様の多くは扁桃が腫れています。
その結果アトピー・喘息・IgA腎症など、様々な病気が起こります。

 

人間は鼻で呼吸することによって、脳を冷やしています。
口で呼吸すると脳の冷却が不十分となり、脳の活動に影響が出る、と口呼吸に注目している内科や耳鼻科の医師が言っておられます。

 

もしご自身のお子様が口で呼吸しているようであれば、是非鼻呼吸に直すべきです。
そしてそのことが、歯ならびやかみ合わせにもよい影響を与えます。

舌の機能異常

舌が低い位置にある

異常嚥下癖のある三重県の子ども
舌は、本来上あごに軽く接した位置にあるのが正常です。
舌が緩んで低い位置にある方は、上の歯ならびが狭く窮屈になり、口をあいたままの状態になりがちです。
嚥下舌が低い位置にある方は、舌の横側に歯のあと(圧痕)がつきます。

飲み込むときに、舌が正しく動かない

食べものを飲み込むとき、舌は上あごに押しつけられるのが正常です。
ところが、矯正治療の必要な子どもの多くは、飲み込むときに舌を前へ押し出し、唇と頬を緊張させて飲み込みます。
これは、正しい嚥下(ものを飲み込むこと)ではありません。
異常な飲み込みによる唇や頬の緊張は、顎の成長を妨げる力となり、その結果歯ならびが悪くなります。

これらの問題が増えてきている理由

舌・唇の機能に異常のあるお子様は、近年増加傾向にあります。
その理由は、

 

・ 離乳が早すぎる
・ 母乳でなく人工乳で育てる
・ 離乳症の進め方の問題
・ 離乳食を与えているときの姿勢の問題
・ おしゃぶりを早くやめさせすぎ(これについては賛否両論あり)
・ 色々な物をなめるのをやめさせる
・ 早く立ち上がる、歩行する

 

などが指摘されています。

食事の問題

よくかまずに食べる

よく噛んでよい歯ならびを
日本人が1日に噛む回数は、昭和初期に比べて半分以下に減ってしまったそうです。
これは日本の食材の軟化と共に、清涼飲料水の影響が大きいと言われています。
Youtubeで海外の方に日本食を食べる動画が多くアップされていますが、海外の方は必ず
「軟らかい!」
「口の中でとろける!」
「噛む必要がない、歯がいらない」
と感激しています。
つまり、海外の方はしっかり噛みごたえのあるものを普段食べている、ということが分かります。
あごの発育は、『かむ』という行為により刺激され、促進されます。
かむ回数が少なくなれば、逆にあごの成長は悪くなります。
現代人は、歯の大きさが僅かに大きくなってきている(下記)にも関わらず、あごの発育が悪くなってきており(下記)、その結果歯ならびの悪いお子様はどんどん増えています。
最近の若いタレントさんと、ベテランの俳優さんの顔貌を比較すれば、あごの発育が悪くなってきていることは、一目瞭然です。

コラム 歯の大きさと顎の大きさ
歯の大きさ

上に述べたように、日本人は戦後 永久歯の大きさが少し大きくなってきていることが、日本大学松戸歯学部の金澤英作教授らが2005年に発表した研究などによって明らかにされています。
因みに、西欧諸国では歯の大きさが大きくなっている、という研究がある一方で、小さくなっている、という論文も散見され、日本ほど歯が大きくなっている、とは必ずしも言えないようです。

顎の大きさ

欧米では、顎の大きさが年々小さくなってきている、という論文があります。
一方、日本では顎の大きさにあまり変化がない、という論文と、ここ数十年、小さくなってきているという論文があり、見解が分かれています。
このことをふまえ、2006年に大学の矯正科が自院の患者さんで顎の大きさの変化を調べました。
その結果、顎の大きさにあまり変わりは無い、という結果が出たため、大学の先生方はこの考えを支持している場合が多いようです。
しかし、この研究は大学の矯正科に通院している患者さんを調べたものであり、そもそも矯正治療が必要な患者さん同士を比較していることが問題で、歯ならびの良い人を含めて無作為に研究したものでなければ、信頼性は乏しいと言わざるを得ません。
従って、多くの開業医は『顎の大きさが小さくなってきている』という考えを支持しています。

かむことの重要性

{かむことの重要性}
江戸時代、徳川幕府の歴代将軍は、歯ならびが悪かったそうです。
当時はよくかまなければ食べられない物が多かったのですが、将軍になった人たちは、かむ必要性の少ない、当時としては特殊な食事を摂っていたことが原因だそうです。

 

食事三度の食事を15分間しっかりかんで行うと、食後30分から2時間くらい顔周辺の温度が上がり、活性化されます。
ということは、一日3度しっかりかんで食事をすれば、顎の発育のための刺激が6時間以上加わります。
残念ながら最近のお子様で、三度の食事にそれだけの時間かけている方は少ないようです。
このことが、歯ならび・かみ合わせの悪いお子様が増えた要因の一つと考えられています。

 

なお、かむことが右脳の「前頭前野」という部分の発達に、強く関わっていることが分かっています。
右脳の前頭前野は、情緒や感情のコントロールを司っています。
近年よくかまずに食事をするようになったことが、感情をコントロールできない人が増えている原因の一つではないか、と考える人もいます。

清涼飲料水(ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料)の摂取

コンビニ・自動販売機の増加により、清涼飲料水が簡単に入手できるようになりました。
それにより、清涼飲料水を常飲するお子様が増加しています。
ところが、清涼飲料水には多量の砂糖・ブドウ糖・果糖が含まれています。
従って、飲んだあとには血糖値が上がります。
血糖値が上がることにより、お腹がふくれ、肝心な三度の食事の量が大幅に減ってしまいます。
その結果、いくら一口を少なくし、30回程度噛んだとしても、一日に噛む回数は十分確保できません。
その結果、充分な顎の発育が得られなくなってしまいます。

離乳食の与え方

一般的に、離乳食の与え方は“標準的な月齢”で説明されます。
しかし、成長は個人差が大きく、それは歯の生える時期も例外ではありません。
奥歯のかみ合わせが確立する前は、それに応じた離乳食が必要です。
また、正しい飲み込みを習得するためには、舌の機能の発達が必要です。
したがって、離乳食を進めるに際し、舌の機能も考慮に入れる必要があります。
つまり、お口の機能を考慮しない離乳食の与え方は、異常な飲み込み習慣の原因になってしまう可能性がある、と近年指摘されています。

前歯でかみ切らない

小さな食材は、前歯でかみ切る必要がありません。
小さな食材ばかり食べていると、奥歯だけでかむようになってしまいます。
その結果、顎の前方への発育不足が起こるといわれています。

食事の姿勢が悪いと・・・

楽しく食事をする鈴鹿のお母さんと子ども
また、よくかみさえすればよいのか、というと、そうではありません。
食事の際の姿勢も重要です。
小さいお子様は、足のつかない状態で食事をしている場合があります。
足から舌まで筋肉の表面にある『筋膜』でつながっています。
このことから、足が床にしっかりついた状態で飲み込み(舌を動かす)をしないと、正しい舌の機能が習得できません。
わかりやすく説明すると、足元が不安定な場所でボールを投げようとしても、腕が真っ直ぐ振れず、正確なコントロールができないのと同じことです。
また、足がつかないと姿勢が悪くなり、曽於の結果舌の正しい動きができにくくなります。

寝相

うつ伏せ寝の桑名の子ども
横向き寝、特にうつ伏せ寝は歯ならびを悪くする大きな原因です。
ただし、何の対策もせず仰向けに寝かせると、呼吸に問題を起こすことがあるので注意が必要です。
寝相の影響を少なくするためには、適切な枕を使うことも重要です。
矯正治療が終わったあとの『歯ならび異常の再発』の原因の多くは、この寝相にある、と考えている歯科医師が多く、治療が一段落するまでに寝相を修正する、あるいは寝相の影響をなくすことが必須と言えます。
特に、うつ伏せ寝は歯ならびのみならず、将来の歯周病の悪化などにも関係するので、100%やめる必要があります。
うつ伏せ寝が直らない場合、呼吸のよくない場合が多いので、呼吸の状態を良くする手術をお勧めする場合があります(この手術は当院では行っておりません)。

その他の悪い癖(悪習癖)

爪かみ歯ならびを悪くする態癖
以下のような癖が原因で、歯ならびやかみ合わせが悪くなることがあります。

 

・ 頬杖
・ 腹這いになり、あごをどこかに押し当てて本を読む
・ 舌で前歯を押す
・ 指しゃぶり
・ 爪かみ
・ ショルダーバッグ
・ 横を向く時間が長い
・ パソコンの使用
・ 下唇をかむ・巻き込む
・ 上唇に力を入れる
・ ポータブル型ゲーム
・ 読書

 

など、思いもよらない様々な日常動作が、歯ならびや噛み合わせの異常につながります。
たとえば、ポータブル型ゲームや読書をすると、顔を下に向ける時間が長くなります。
すると、下あごが前に出てかみ合わせに問題が起こることがあります。
また、頬杖は姿勢が悪い人が行うことが多いので、姿勢の改善が重要であると共に、自身が意識してやめることが必要です。

姿勢と足指&靴&靴下

姿勢が悪いと、舌が下がります。
舌は直接あるいは間接的に下あごの骨とつながっており、舌が下がれば口があく方向に力がかかり続けます。
その結果、口が閉じにくくなってしまいます。
また、正しい飲み込みの際は舌が上あごにピタリと接する必要がありますが、舌が下がっていると正しい動きができなくなり、飲み込み方が正常な成人とは異なる状態になってしまいます。
姿勢が悪くなる原因はたくさんあり、本当の理由はまだ分かっていませんが、その1つとして足と靴の問題・生活習慣との関連性も指摘されています。

足の問題−足指

浮き指は、姿勢や関節に強い影響を及ぼすことを示す研究があります。
現代の子どもたちは歩行経験が少なく、足指が十分に使えていません。
また、下に記した靴の問題も、足指の問題を誘発する事がわかっています。

足の問題−靴下

手袋は、ほとんどの場合5本指です。たまに親指以外が1つになった手袋もありますが、雪だるまを作るとき以外にメリットはないのではないでしょうか?
それでは靴下はどうでしょう。靴下はほとんどの場合、指をまとめて入れるチューブソックスです。
これは5本の指をくっつけようとする力がかかります。
裸足で立った場合のバランスと、裸足の親指から小指にかけて輪ゴムをかけたときの体のバランスを比べると、後者はバランスが悪くなります。
つまり、靴下も体のバランスにとって好ましくない、と さくら総合歯科院長は考えています。
それでは、どうすればよいのでしょう?

ゆびのば体操

現代の先進国の人の足指は、多くの場合変形しています。そこで足指の変形の予防・改善に役立つ

 

「ゆびのば体操」

 

を行うことをお勧めします。

サポート力のある5本指ソックス

足の指の変形による影響を少なくし、変形を改善する目的で特殊な5本指ソックスが開発されています。
(スーパーなどに売っている5本指ソックスにはそのような機能性はありません。)
そのソックスは当院にてお取り扱いしています。

足の問題−よくない靴

{姿勢と足}
日本は、もともと靴がなかった国です。西洋から入った靴文化は、実は正しく伝わらず、日本人は靴の正しい選び方、履き方を知りません。
その結果、日本人の足の状態は、西洋人はもとより東洋人の中でも際だって問題が多い、ドイツの整形外科靴の国家資格を持っている方が言っておられます。
なぜそうなったかは詳しい検証はされていませんが、一度履いたら殆どはいたままになる生活環境と異なり、しょっちゅう脱ぎ履きしなければならない日本では、

 

「履きやすい靴」

 

を選択する傾向があります。
また、安価な靴をゆるめに履くことにより、足を痛めている可能性が指摘されています。
足の指に問題が起こったり、合わない靴を履いていると、姿勢に悪影響を及ぼすことが知られています。

生活習慣の乱れ

昭和時代、各家庭にソファーは普及していませんでした。あっても応接間くらい、日常ソファーにもたれて座る、ということをしていませんでした。
そもそも、だらだらとした姿勢をしていれば、親や祖父母に注意されるものでした。
その時代、ベビーカーも殆どありませんでした。ベビーカーは一見幼児に負担がかかりませんが、実は慎重に選ばないと、将来姿勢に悪影響を及ぼす可能性が、指摘されています。