そもそも、歯はどうやって綺麗に並ぶのでしょうか?
それを理解しないと、歯ならびの悪化の再発は防げません。
歯ならび・かみ合わせの病気を考える前に、まず
『歯はどうやって並んでいくのか』
ということを理解しておく必要があります。
歯は厳密に設計されたようにはえてくるわけではなく、ある意味適当にはえてきます。
例えば永久歯が生え始めたとき、乳歯の真下からではなく、永久歯の横からかなりゆがんだ状態で顔を出してきた経験をお持ちの方も、多いと思います。
ところが、歯が並ぶのに十分な顎の大きささえあれば、最終的にきれいな円弧を描いて整列します。
では、何がゆがんではえてきた歯を整列させるのでしょう。
乳歯より内側からはえてきた永久歯は、舌により外に押し出されます。
逆に、外からはえてきた歯は唇や頬により内側に押されます。
そして最終的に、舌が内側から押す力と、唇や頬が外側から押す力のバランスの取れた場所に並んでいきます。
唇の筋肉(口輪筋)や頬の筋肉(頬筋)、奥歯の後方の筋肉(上咽頭収縮筋)が舌に対抗して歯ならびの外側から歯ならびを保持する機能的な力のことを
バクシネーターメカニズム
と呼びます。
自然に並んだ歯は、力のつり合いの取れたところに並んでいるので、歯ならびが完成してからは簡単に移動しません。
つまり、安定した歯ならびになります。
矯正治療とバクシネーターメカニズム
そもそも歯ならびの悪い人が、なぜその位置に歯が並んだかを考える必要があります。
本来並ぶべき位置より内側に並んだり、内側に歯が倒れ込むことにより歯の並ぶスペースが不足するので、歯ならびが悪くなるのです。
つまり、舌が内側から押す力より、外側からの力が優勢であることが、歯が内側に並ぶ原因なのです。
したがって、その原因に対応せずいくら歯を並べても、外側から歯を内側に押す力がかかっている以上、高い確率で歯ならびは再び悪化(再発)してしまいます。
したがって、歯を並べている間に、この「バクシネーターメカニズム」を正常にしておく(筋機能訓練や生活習慣の是正)ことが重要なのです。
上下の歯は、上に説明した力により、一列に並んでいきます。
しかし、それだけでは上下の歯はしっかりかみ合いません。
歯がはえて間もない頃は、歯はまだがっちり固定されておらず、弱い力で動きます。
その時しっかり噛んでいると、上下の歯は緊密にあたるようになります。
緊密に接触した状態になれば、安定したかみ合わせになります。