ここでは、歯ならびやかみ合わせの異常の種類について説明します。
以下の説明は、専門家が見ると若干表現に問題を感じるかもしれません。
あくまで素人の方にわかりやすくするために、下記のような表現をしています。
いわゆる乱ぐい歯(乱杭歯)。
歯ならびが、がたがたになった状態です。
主に前歯に起こりますが、奥歯に起こる場合もあります。
歯ならびが悪いと、
・ むし歯や歯周病になりやすくなる
・ あごの関節が痛くなったり口があきにくくなる「顎関節症」と言う病気になる
・ 見た目が悪い
・ 唇が閉じにくくなる
などの問題が起こります。
糸切歯(犬歯)が他の歯より外側に生え、牙のようになった状態。
(図の 黄色の部分)
日本ではチャームポイントとされる場合がありますが、欧米では、八重歯は「悪魔の歯」「ドラキュラの歯」として、嫌われています。
糸切歯はかみ合わせにとって最も重要な歯と言われています。
その糸切歯がきちんと噛んでいない八重歯の方が高齢になったとき、多くの場合多くの歯を失います。
いわゆるすきっ歯。
歯と歯の間に隙間がある状態(通常永久歯では隙間がありません)。
・ 舌や唇の機能異常
・ もともと歯が小さい場合
・ 歯の数が少ない場合
などにより生じます。
いわゆる出っ歯。
上の歯が下の歯より前に出た状態。
上あごが成長しすぎたり、上の前歯が大きく前方に傾いた場合に起こります。
出っ歯に見えるお子さまの多くは、一見 上の前歯が前に出ているように見えますが、実は多くの場合 下あごの発育が悪いため、相対的に出っ歯に見えているだけです。
日本人で本当に上あごが成長しすぎている人は、あまりいないといわれています。
いわゆる受け口。
上の前歯は通常下の前歯に覆い被さるようにはえますが、下顎前突では下の前歯が上の前歯より前に並びます。
受け口は下あごが前に成長しすぎているように見えますが、
・ 単純に下あごだけ前に過剰に成長しているのは20%
・ 下あごが過剰に成長しているものの、上あごの成長も悪いものは22%
・ 上あごの成長が悪く下あごは問題ないものは25%
と、実は上あごの成長が足りないものが多く含まれます。
上あごの発育は永久歯の前歯が生えそろう頃にはほぼ止まっているので、上あごを正常な状態まで発育させるためには、少しでも早くアプローチ(治療を開始)することが重要です。
上の前歯が下の前歯に大きく深く覆いかぶさった状態。
多くの場合、下の前歯が上の前歯の裏側の歯ぐきすれすれに噛み込みます。
近年この“過蓋咬合”の子どもたちが激増しており、たくさんの子どもを長年診てきたベテラン小児歯科医の間で、この問題が憂慮されています。
と言うのは、過蓋咬合は呼吸に問題を起こしやすく、子どもたちが酸素不足に陥っている可能性があるからです。
酸素不足になると、集中力がない、寝起きが悪い、落ち着きがない、就寝時にいびきをかいたり上を向いて(仰向けで)寝ない、おねしょをする、などの問題が起こると言われています。睡眠時無呼吸症候群の方の多くは、このかみ合わせです。
ぱっと見歯ならびが悪く見えませんが、実は健康上極めてよくないかみ合わせです。
過蓋咬合であるかどうかは、専門家(歯科医師)の判断を仰ぐ必要があります。
上の前歯が下の前歯と先っぽ同士であたる状態。
かんでも上下の前歯が接触せず、あいたままになった状態。
当然、前歯で食事を噛み切ることが出来ません。
舌や唇の機能異常が原因と言われています。
40歳を超えた頃から、かみあっている奥歯の歯周病が急激に進行し早期に歯を失うことが多いので、注意が必要です。
下あごが、左右何れかに傾いて、斜めに成長してしまった状態。
当然、顔がゆがんでしまいます。
一見綺麗に歯が並んでいるようでも、実は一部の歯しか接触していない場合があります。
素人の方は、多くの場合そのことに気付いておられません。
実はこの状態の方は結構多く、様々な問題(肩こり・頭痛・顎関節症など)の原因となります。
先に述べた「開咬」と同様、40歳を超えた頃から上下が接触している歯(かんでいる歯)の歯周病が急激に進行し、早期に歯を失うことが多いので、注意が必要です。